上本博紀と前田大和

 

既に終戦を迎え、DeNAとの最下位争いがネタになりそうな阪神ですが
さすがにこれだけ負けがこむと、様々な批判も沸き起こってきていますね。

 

こんな時に多く出る意見が「若手を使え」というヤツです。

 

 

しかし、私が何度も当ブログで指摘し続けているように

 

悲しいかな

 

使いたくなるような若手が見当たらない。

 

 

投手はともかく、野手陣は末期的な状況です。

 

 

8月12日に行われた育成試合の結果、見ます?

 

 

大阪体育大学に負けてんですよ!?

 

プロに入りたくても入れない選手が大半の大学生の球を打てず、大学生に打たれる。
結局今の二軍の選手などその程度のレベルでしかないんです。

 

ちなみに独立リーグなんかにもちょいちょい負けています。

 

若手を使うどころの話ではありません。ファームは総替えしてもいいくらいです。

 

 

これらは決してファームの育成システムの問題ではありません。
全てスカウティングの失敗です。

 

 

ここ10年くらいドラフトで指名した野手の中で、主軸を期待される選手が何人いましたか?

 

私に言わせれば、03年の鳥谷以降ドラフト指名時点で期待されたのは昨年の伊藤準太までいませんでした。

 

その間、獲った選手と言えば

 

大卒で岡崎、上本、柴田、甲斐、俊介、荒木

 

高卒で大和、野原(将)、高濱、橋本

 

 

守備や走塁がウリの小兵とキャッチャーばかり。

 

強いて言えば…の野原(将)が育たずこのザマです。
ちなみに高濱はロッテに人的補償で獲られ、目下イースタンで打率上位にいるようです。

 

 

古くは新庄や濱中、そして桜井広大が入団した際には、彼らの打球の飛距離が結構話題になって期待されたものですが

 

そういった期待の大砲候補が誰一人いなくなって久しいのです。

 

鳥谷もホームランバッターではありませんし、伊藤準太は確かに大学全日本の4番ですがホームランバッターというイメージではありません。

 

 

こんな状況下で、一体どんな若手を使えと言うんでしょうか。

 

 

今一軍で「若手」と言われる選手にしても

 

 

新井良太が4番に抜擢されました。
彼も29歳になっており、若手などとおめでたい事を言っている選手ではありません。
ちなみに良太は中日からの移籍選手で、阪神がドラフトで指名した訳ではありません。

 

トレードで来た今成がいきなり一軍の捕手枠に定着しているのが現実です。

 

このところサードで出ている坂は若いと言えなくもありませんが、移籍選手なのでドラフトで獲った選手ではありません。

 

 

こうなると、ここ10年ドラフト指名を担当してきた編成部の責任は極めて重いと言わざるを得ません(ちなみに監督を含めた現場サイドはいつも「スカウトに任せる」としか言わない)。

 

 

 

そんな中

 

少しでも打開策を、と考えるならば

 

 

上本と大和かな…(結局小兵ですが)。

 

 

彼らは小兵なのですが、盗塁ができる選手です。

 

足が速ければ盗塁できる訳ではなく、盗塁には技術と考え方が必要なのだそうです。

 

平野は足は遅くないのですが、盗塁ができません。
同じく柴田や俊介も俊足の部類なのでしょうが、盗塁ができません。

 

そんな中、今いる選手の中では上本と大和が盗塁できる選手なのです。赤星氏が断言しています。
いわゆる小兵で俊足、右打者と言う共通点があり同じように見られがちですがタイプは異なります。

 

 

上本は小兵ですが小ぢからがあり、たまに長打があります。
守備はさほど上手くはありません。

 

大和は元々ショート出身で抜群に守備が上手いです。
フライを追う感覚も素晴らしく(この辺は平野にも言えるのですが)、センターとしても一流の守備を見せます。

 

彼らを常時スタメンで使えば…結構盗塁王を争うかも知れません。

 

今年の大和の打席数はレギュラークラスの半分程度なのですが、今の盗塁数12を倍にすれば盗塁王争いのトップになります(セリーグは他球団にも盗塁をするレギュラークラスの選手が少ない)。

 

上本も昨年のデータ(8盗塁)から考えると、規定打席立つなら年間30盗塁はできる計算になります。

 

 

これだけ打てず、点が取れない状況です。
新井に送りバントをさせるところまで来ています。

 

元来、私は出塁もできないのに機動力に期待してもダメだという考えなのですが
事ここに至っては、当面は上本と大和の機動力に期待する方がいいんじゃないかと思います。

 

 

それと起用法についてですが

 

これまで主軸がポジションを占領し続けていたため、若手をレギュラーに固定する必要もなかったのでしょうが
これも考え方を変えねばなりません。

 

 

中途半端に若手を使ったところで、将来にはつながりません。
スタメンで活躍したかと思うと、次の試合はベンチスタートだったりする事が度々あります。昨夜もセンターのスタメンは大和ではなく平野でした。

 

 

 

鳥谷とて、岡田監督が辛抱しつつレギュラーとして固定していったのです。

 

ポジションは与えられるのではなく奪うものだ、なんて言うのは聞こえが良くもっともらしいのですが
ほんの一部の限られた選手を除き、現実はそうなっていません。

 

 

桜井広大もレギュラーを掴みかけましたが、ちょっと打てないと「桜井は自分がレギュラーだと勘違いしちゃダメだ」なんて事を言う首脳陣がいたりして結局定着できませんでした(ま、ケガもありましたが)。

 

まして上本や大和なんていう脇役的な選手は便利屋扱いされやすいのです(守備固めや代走要員、みたいな事で)。どこかで誰かがレギュラーにドンと据えないと、なかなかポジションが獲れない。

 

何よりも和田監督自身がそうでしたよね。
前年まで4年連続ゴールデングラブ賞を獲っていた名手・平田をさしおいて和田をレギュラーに抜擢・固定したのは当時の村山監督の確固たる信念だったと思います。

 

 

金本を筆頭に、これまでの主力選手の先はますます不透明なものになってきています。

 

統一球の導入で状況は一変しています。

 

内野安打や盗塁の価値は相対的に上がっていますし、無死または一死で三塁にランナーがいればスクイズありきだと思います。

 

 

今の平野の状態から考えて、私はいよいよ上本をレギュラーに固定する時期にきたと思っています。

 

もしも来季鳥谷がFA移籍する事があるなれば、ショートのレギュラーは100%大和です。

 

 

 

現有戦力で若手の話をするならば、そんなところです。

 

しかしそれは当面の話であって、5年後を見据えた話ではありません。
本当はホームランを打てる選手が育ってほしいのですがね…。